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2014年1月26日日曜日

中低音ウッドホーンの検討(3)~fc50hz/60hzのホーンの構造計算~

モックアップを作った時には、自分で構造の計算をせず、すでに計算をされた例をネットで見つけてその計算を使用しました。

今回改めて、自分で計算を試みましたが、意外と簡単に出来るので、以下に示します。

なおホーンスピーカーの本としては、誠文堂新光社(現在は誠文堂)の「ホーンスピーカー設計・製作法」新井 悠一著 が最も詳しいでしょう。

残念ながら、絶版となっており、私は横浜市図書館で借りて、必要な部分をコピーして使っています。

以下はその本から、エッセンスを書き、式に基づいて私がエクセルで計算した結果です。

ホーンスピーカーには、①エクスポーネンシャルホーンと、②ハイパボリックホーンがあります。


①エクスポーネンシャル
指数関数ホーンと言われて、開口部の断面積変化が指数関数的に増加するホーンで次式であらわされます。

S = S0×emx         (自然対数のmx乗)
 
は、ホーンドライバー開口面積(スロートアダプター直後)で、xはそこからの距離、Sは距離xの
場所のホーン開口面積です。
 
mはフレアコンスタントといい、
m = 4πfc÷C 
で、fcはカットオフ周波数、Cは音速です。
 
 
 
エクスポーネンシャルホーンはfcよりも、かなり余裕のある領域では、ホーンを小さくできるというメリットがある反面、fc近辺ではレベルがかなり落ちることが上記の本のp19の図1-1-10でも示されています。

また幸せの黄色いホーンというブログでは、EVからJBLに移籍したD.B.キール氏の論文も示されており、少し大きくなるが、fcぎりぎりまでレベルの落ちないハイパボリックホーンで設計することとします。 http://kiirojbl.web.fc2.com/audio/audio77.htm


②ハイパボリックホーン
これは開口部断面積が、双曲線関数によって拡大するもので、次式であらわされます。

S = S0×(cosh mx + T × sinh mx)
Tは定数で0から∞までの値をとります。 T=1の場合、この式はエクスポーネンシャルホーンと同様となります。

また前述の本の図1-1-10にはTが1.0から0.4までのfc近辺での周波数特性の計算事例が示されており、結果Tを0.6程度に選択すればよいことが示されています。

Tを0.6として、fc = 50hzの場合と60hzの場合、計算した結果を、表ー1として示します。

なおこのSは、YL7500g(2インチドライバー、60hz~ )を使用することを前提として、計算をしました。


表ー1 ホーンスピーカーの構造計算結果

距離   (cm)fc(カットオフ周波数)fc(カットオフ周波数)
50hz60hz
開口面積(cm2)開口部辺(cm)開口面積(cm2)開口部辺(cm)
019.6 4.4 19.6 4.4
1022.2 4.7 22.8 4.8
2025.4 5.0 27.0 5.2
3029.6 5.4 32.6 5.7
4034.8 5.9 39.8 6.3
5041.1 6.4 48.9 7.0
6048.9 7.0 60.5 7.8
7058.3 7.6 75.0 8.7
8069.8 8.4 93.3 9.7
9083.6 9.1 116.1 10.8
100100.3 10.0 144.7 12.0
110120.5 11.0 180.4 13.4
120144.7 12.0 225.1 15.0
130173.9 13.2 280.9 16.8
140209.1 14.5 350.5 18.7
150251.4 15.9 437.4 20.9
160302.4 17.4 546.0 23.4
170363.7 19.1 681.5 26.1
180437.4 20.9 850.6 29.2
190526.2 22.9 1,061.7 32.6
200632.9 25.2 1,325.3 36.4
210761.3 27.6 1,654.3 40.7
220915.8 30.3 2,065.0 45.4
2301,101.7 33.2 2,577.7 50.8
2401,325.3 36.4 3,217.7 56.7
2501,594.3 39.9 4,016.5 63.4
2601,917.9 43.8 5,013.7 70.8
2702,307.2 48.0 6,258.5 79.1
2802,775.5 52.7 7,812.3 88.4
2903,338.8 57.8 9,751.8 98.8
3004,016.5 63.4 12,172.9 110.3

この計算結果から、fcが60hzでも、ホーン長を3mとすると、軸距離が10cm増加して辺が12cm増加なので、ホーンマウスの傾きはまだ45°に達していません。

前述の本にも、45°を超えると、ホーンをそこで切っても、周波数特性が暴れないことが判っていると記されています。

しかし、私の部屋では5mなんて長さのホーンを収納は無理なので、多分250cm以上のホーンマウス部を急激に広げるような設計にして、指向性を改善することになるのでしょう。

このバランスをどうすべきかは、前述のD.Bキル氏の論文など(即ちJBLなどの先行事例)がないか時間を見つけて調べましょう。

次に設計では、3m前後の長さを、
①どう折り曲げるか、
②直線部は、ソフトメイプル集成材を四角錐状に張り合わせるとして寸法配分をどうするか、
③曲線部は無線と実験1979年12月号に記載の岩田式ホーンを真似て、E-206樹脂http://www.bldy.jp/buibetu/konishiE206.pdf
を使用して、モルタルをミックスして曲線部ができないか(多分木製は困難か?)
④重量的には結構なものが、モックアップを作るとバランスが重要だとわかる。 
即ちおもりをつけないと自立しない。  どう設計?
地震でも怪我しないようにしないとな。

などの点を検討する必要がありそうだ。 あ~あ。

 

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